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前長岡技術科学大学教授 故福嶋祐介先生の没後一周年を迎えるこの機会に、氏の業績である雪崩運動シミュレーション及びその応用について討論を設け、本趣旨にのっとりいかなる行動をすべきかの計画(アクションプラン)を提唱するものである。
主催 :長岡技術科学大学、雪氷学会雪崩分科会、NPO法人水環境技術研究会
後援 :防災科学技術研究所、雪氷防災研究センター
発起人 :早川典生(NPO法人水環境技術研究会)
細山田得三(長岡技術科学大学)
上石勲(防災科学技術研究所 雪氷防災研究センター)
西村浩一(新潟大学理学部)
大澤範一(長岡技術科学大学大学院、(株)東京建設コンサルタント)
日時 :2007年12月19日
会場 :長岡技術科学大学 マルチメディアシステムセンター
発表論文:7件
当社発表論文:「福嶋先生の雪崩運動モデルの特徴とその課題」/大澤 範一((株)東京建設コンサルタント、長岡技術科学大学大学院)
平成19年1月に逝去された福嶋祐介先生(以下敬称略)の追悼セミナーという趣旨を踏まえ、国際的にも高く評価された福嶋の雪崩シミュレーションモデルについてその概略を説明し課題を整理した。
福嶋の雪崩シミュレーションモデルは、雪粒子の底面からの巻上げや、乱流構造に伴う運動形態への影響など雪崩の運動を緻密に表現したものであり、また速度や高さ、雪濃度といった主要なパラメータが単純な常微分方程式の解として得られるラグランジェ的なモデルであるため演算時間の面でも優れている。近年このモデルは二次元解析モデルへと拡張され、雪崩の流下経路や流動幅といった防災上重要な情報の推定も試みられている(大澤・福嶋,2004)。
しかし半楕円体で仮定される雪崩本体の形状が異なった現象である傾斜サーマルの実験式で定義されている点や、周囲空気の連行や流動幅に関する無次元係数の設定など、解析の実施に多くの仮定条件を必要とする。これは、実際の雪崩の観測データがほとんど無く、特に発達過程の雪崩の挙動が明確では無いことに起因する。
現地観測や模型実験などから雪崩の運動特性を明確にし、モデル中に含まれる仮定条件について精査することができれば、モデル精度を向上させることが期待できる。
早川典生先生
論文発表の様子(当社 大澤範一)