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技術トピックス

平成20年度ダム工学会技術賞を受賞

平成21年5月14日に開催されたダム工学会第19回通常総会で、ダム技術の発展に著しい貢献をしたということで、国土交通省北陸地方整備局「横川ダム建設事業」が評価され、発注者推薦により弊社も一員として表彰されました。

本事業の中で弊社は、非常用洪水吐設備(クレストゲート)の設計を担当し、景観とコスト縮減等に配慮した「回転式スライドゲート」(特許登録済)を北陸地方整備局と共同で考案しました。

<横川ダムの概要>
横川ダムは、一級河川荒川左岸支川横川の山形県西置賜郡小国町に平成20年完成した多目的ダムです。
(ダムの目的:洪水調節、河川の水位維持、工業用水の提供、発電)
ダム形式は重力式コンクリートダムで、その規模は、堤高72.5m、堤頂長280m、総貯水池容量2,460万m3です。

今回表彰の対象となったクレストゲートは、シェル構造のスライドゲートで、径間11.5m×扉高3.7m×2門、径間7.0m×高さ3.7m×1門という構造・規模です。ゲートの設置位置は、下図の通りダム堤頂部付近に設置されます。

<横川ダムクレストゲートの技術的特徴>
新たに考案した「回転式スライドゲート」は次の特徴を持っています。
①洪水期は、ゲートを全閉とし固定堰(サーチャージ水位)として使用し、
 最大2.2mの越流(設計洪水位)が可能
②非洪水期は全開で使用し、扉体が自然越流水に影響を受けない高さ
 で休止可能
③流量調節を行わない事から、洪水期と非洪水期の切替時の開閉操作を
 無水圧状態で行う事が可能なため構造を簡略化

【洪水期】

ダム越流堤(固定堰)として使用

ダム越流堤(固定堰)として使用

最大2.2mの自然越流が可能

最大2.2mの自然越流が可能

【非洪水期】

全開で休止する

全開で休止する

自然越流の影響を受けない

自然越流の影響を受けない

<「回転式スライドゲート」の構造>
①特殊な開閉形式
シェル構造の扉体両端部にリング状(回転体)の桁とラックを取り付け、油圧モータ(ピニオンギア)によりリングを回転させて円弧状にゲートを開閉する特殊な形式

②単純な構造で維持管理が容易
無水圧状態で操作する条件とすることで、戸当りに大荷重を受けた状態で操作することが無いため、構造が単純なスライドゲート形式

③水理的に良好
リング状の桁を放流水路壁面の箱抜き内部に全て納める配置とし、桁と壁面を同一とすることで放流水路の優れた水理性

④安全な構造
水圧荷重は、リング状の桁に設置した支圧板から箱抜き内部に設置した戸当りに安全に伝達する構造

⑤駆動力を小さく出来る
リング状の桁の回転中心に対して、扉体と対称の位置にカウンターウエイトを設置することで開閉荷重を低減させ、油圧モータ容量の低減(コスト縮減)

⑥景観が良く土木構造がシンプルになる
開閉装置をダム堤体内部に設置することによるダム堤頂部に突出する開閉装置室がない優れた景観