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ライフサイクル事業本部では、河川や道路などの社会を支えるインフラストラクチャーとしての機械設備・電気設備・情報通信設備の調査・計画・設計とインフラマネジメントに取り組んでいます。 河川、ダム、海岸、道路、上下水道施設の機能を発揮するうえで、機械・電気・情報通信設備は必要不可欠です。施設に求められる機能を果たすための性能と操作性に加えて、ライフサイクルコスト、維持管理性、施工性等を総合的に検討し最適な設備計画を提案します。
【主な事業内容】
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◆施設の役割
森吉山ダムは水道水、農業用水等を安定供給し、台風などで山間部に大雨が降った際に下流の平地で洪水による浸水被害が発生することを防止するための施設です。
◆設計の内容
このダムの取水、放流を制御するための機械・電気・制御設備の設計を行いました.
さまざまな取水・放流設備の形式を比較検討して、このダムの立地条件、利用目的から一番適した円筒多段型選択取水設備と放流用のジェットフローバルブを選択して設計( 計算・図面:材料力学、構造力学、流体力学、機構学、振動学) しました。
他のダムではダムの運用に必要なダム管理用制御処理設備と雨量計、水位計、カメラ、通信ネットワーク及びそのシステムの設計や受電設備・非常用電源設備の設計(電気・電子工学、制御工学、情報工学) も行っています。
◆ダムの機械・電気・制御・情報通信設備を設計する魅力
ダムの建設は、土木構造物の中でも最高峰の技術の結集であり、とくに機械・電気・制御設備はダムの機能を決定づける重要な施設です。
ダム機械・電気・制御設備の設計は、その重要な設計に携われるばかりでなく、土木・建築・環境といった異分野の技術者との連携もあり、技術者としての視野が広がる魅力的な大規模プロジェクトです。 これからは既にあるダムの機械・電気・制御・情報通信設備を維持するための修繕設計が増えますので、実際のダムの内部に入り大きなゲートを目の前で見ながら調査するなど、普通は見ることの出来ない設備を相手に仕事が出来ることも1つの魅力です。このように大規模で社会的に重要な施設に関わり続けることになりますので、その責任の大きさに実感をって取り組むことができます。
◆施設の役割
堰は水道水、工業用水、農業用水を河川から分流して取水できるように、河川を横断して水位を上げる施設です。洪水時には河川の流れを阻害するため堰のゲートを転倒させて河川の洪水流量を確保します。
◆設計の内容
河川を横断する施設のため景観に配慮してゲートや駆動部が見えない構造としました。洪水時には堰のゲートを転倒させる必要があるため油圧駆動とし、細長いゲートが河川の流れにより振動しないように構造設計し整流機構も設置しました。また、堰は上流における降雨量や、下流の流況を判断しながら制御する必要がありますの
で、そのための堰用の制御設備の設計( 計算・図面:材料力学、構造力学、流体力学、機構学、振動学、電気・電子工学) も行いました。
◆堰の機械・電気・制御設備を設計する魅力
堰ゲートは河川の中に機械設備を設置するため、自然環境や景観への配慮という視点を重要視した設計が必要とされ、他分野の機械・電気・制御の技術者にはないセンスで取り組むことができます。
堰には魚が上れるようにする魚道を必ず設置しますので生物の専門家との連携があり、また景観に関してデザイナーと連携する事がありますので、1つのプロジェクトの中で他の技術を学ぶこともできます。
さまざまな技術を統合して設計を完了した時には、チームで協同作業を完成させた達成感をわかちあうことができます。
◆施設の役割
河川排水機場は台風などで大雨が降った際に、住宅地域、商工業地域、道路などの生活基盤を浸水から防ぐために、貯まった雨水を堤防のある河川に排水するための施設です。
◆設計の内容
排水機場は洪水時に確実に機能するように設計する必要があるため、停電や周辺で浸水が発生しても機能するように設計します。
台風の時などに運転する事を前提として、水位や設備構成などの機械・電気・制御設備の条件を設定します。そして設計に先立ち新技術を調査して採用できる可能性のあるものはメリット、デメリットなどを詳しく調査した上で、その後の検討における基本情報とします。
次にポンプの運転範囲を検討してさまざまなポンプ形式の中から最適な形式を選定します。そして、電源が無くてもポンプを駆動できるようにガスタービン、ディーゼルエンジンなどの形式を採用した場合のケーススタディーを行います。各形式における配置図を作成して、電源・制御設備の他に必要な土木、建築の形、大きさも検討します。そして、40 ~ 60 年の長期にわたる信頼性や維持管理性、ライフサイクルコストを比較し形式を決定します。ある排水機場では航空機で使用されているガスタービンを転用した構造(写真3)を採用して地下の土木構造と建築建屋の大きさをコンパクトにしました。この場合、機械設備は高価となりますが、土木・建築の建設費を抑えて、トータルでコストダウンを図りました。ポンプ・ガスタービンを動かすための電気・制御設備、そして、運転操作するための監視操作設備の設計(計算・図面:機械四力学、電気・電子工学、制御工学、騒音・振動工学) も行い、排水機場の建設に必要な全てを設計しました。
他の業務として、20 箇所以上の排水機場と数十キロ離れた事務所を光ケーブルで結び遠隔監視操作するための制御処理設備、通信ットワーク、カメラシステムの設計も行っています。
◆排水機場を設計する魅力
排水機場1施設全体の機械、電気、制御全てを把握して設計できる事は、一部分の装置設計・設備設計では経験できない魅力の1つといえます。自ら設計計算や比較検討を行い仕様を決定し、図面を作成し、それが建設され完成した時には大きな充実感となります。
◆システムの役割
東日本大震災において大津波により水門を閉めに向かった消防団員が数十人亡くなった事を受け、国の方策として津波対策のためのゲート自動閉鎖・遠隔閉鎖設備の導入が進められています。海岸だけでなく河川を津波が遡上する対策も必要であり、そのための遠隔制御システムです。
◆設計の内容
河川の水門設備について、地震・河川遡上津波の対応を目的とした遠方操作システムの検討を行うとともに、洪水時を目的とした既存遠方操作システムとの統合河川管理システム更新の設計を行いました。津波対策の先行事例として東海地震による津波対策を行っている自治体の体制やシステムを調査し設計の参考としました。システム設計( ネットワーク、処理装置構成) 及び設備の健全性を常時モニタリングする監視機能の充実に合わせ、緊急操作対策としてゲート自動閉鎖( 衛星:J-Alert、光ケーブル:気象庁情報の受信によるゲート閉鎖) 及び安全対策設備(カメラシステム、警報システム、電光表示・柵等)の設計を行いました。あわせて、直下地震後の津波に備え信頼性向上のため通信のバックアップ回線、予備電源、制御盤改良やゲート閉鎖遅れの懸念のある施設は開閉装置を遠隔操作により急降下( ゲートのブレーキ解除による無動力閉鎖) できるように改造する他、これらに対応するアラームメールを自動配信するシステムを設計( 計算・図面:電気・電子工学、情報通信工学、システム工学、人間工学、機械四力学) しました。
◆遠隔制御システムを設計する魅力
津波・洪水から人命や浸水被害を防止するためのシステムですので信頼性が特に重要であり、このような社会的に非常に重要なシステムの設計ができる事はとてもやりがいをもって取り組むことができます。情報処理システム、機械・電気・制御設備の幅広い総合的な技術力を身に付けて発揮することができます。