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東京建設コンサルタント

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CIMへの取り組み

荻原地区全体築堤

 我が社は、これからの維持管理・更新時代に的確に応えていくため、国土交通省が推進するi-Construction注1とそのトップランナー施策である「ICT の全面的な活用」を推進するために、CIM(Construction Information Modeling/Management)注2に積極的に取組んでいます。 また、社外的にもCIM試行業務を通じて『CIM技術検討会』注3に参画し、基準書等の早期整備に向けてお手伝いをして参りました。
 CIMシステムを一早く導入し携わった業務について、その代表的な事例を紹介します。

【注釈】

関連業務実績

関連業務の紹介ー 荻原地区樋門及び橋梁詳細設計業務 ー

業務名:荻原地区樋門及び橋梁詳細設計業務(平成25年度CIM試行業務)
発注者:北陸地方整備局 千曲川河川事務所

 本業務は、一級河川犀川支川松葉沢と支川宮沢川周辺において、排水樋門の詳細設計、 犀川築堤の修正設計、荻原地区堤防嵩上げに伴う箱形管渠詳細設計を実施したものです。

荻原地区全体築堤モデル線形と標準断面から3次元モデルを作成し(左図)、地形モデルや航空写真と合成した(右図)
樋門施工モデル工事の進行に合わせた3次元の仮設計画モデルのアニメーションを作成
樋門構造モデル樋門の断面図を押し出し機能で形状を延長方向に伸ばし作成

 千曲川左支川犀川の「荻原地区堤防整備」において、河川構造物の設計段階におけるCIMとしては、全国で初めての取り組みとして、CIMの活用を行いました。

 河川事業の中でも主要な事業である築堤工事についてCIMを適用したものであり、堤防本体の他、付帯して整備予定の樋門、 橋梁や支川取付部などについて3次元モデル化し、河川構造物設計において、調査・計画から設計、施工までの流れの中で、 どのような活用場面があるかを検討・検証しました。また、その成果は、国土交通省でCIMについての検討を行っている 「産学官CIM検討会 河川CIM」のなかで、千曲川河川事務所が報告する検討成果の一部として使用され、当社はCIM試行業務を通じ、 本検討会にも参加しています。

関連業務の紹介ー 平成26年度千曲川河川事務所CIM活用検討業 ー

業務名:平成26年度千曲川河川事務所CIM活用検討業務(平成26年度CIM試行業務)
発注者:北陸地方整備局 千曲川河川事務所

 本業務は、一級河川犀川の「荻原地区堤防整備」の河川事業において、施工中の現場においてCIMを適用したもので、CIM支援業務受注者として施工者を支援しました。

築堤TS出来形管理モデルイメージ堤防の造成工事に必要なデータを作成
築堤情報化施工実施状況工事の現場で作成したデータのチェック
築堤の施工情報に関する3次元モデルへの属性情報付与(材料証明、品質記録情報)設計条件、使用材料諸元等が確認可能となるよう属性情報として3次元モデルに付与

 平成25年度に取り組んだ「荻原地区樋門及び橋梁詳細設計業務」のあとをうけ、施工段階におけるCIM活用検討を行ったものです。 当社では実際に堤防整備を受注した施工者のCIMを活用した築堤の施工を支援する立場として、施工段階のCIMの活用に取り組みました。 設計段階と同様に、河川事業における施工段階のCIM試行としては全国で初めての取り組みです。 特に、3次元モデルを活用した情報化施工用データの作成は、国土交通省が打ち出しているi-Constructionにもつながります。 また、築堤モデルへの属性情報の付与など、今後の築堤事業の施工段階におけるCIM活用方法に関する貴重な事例になったものと考えられます。

関連業務の紹介ー 山国川景観検討業務 ー

業 務 名:山国川景観検討業務(平成26年度CIM試行業務) 発 注 者:九州地方整備局 山国川河川事務所

 本業務は、山国川の床上対策緊急特別事業区間を対象に、景観に配慮した河川改修に向けた総合的な検討を行ったもので、 景観方針の検討や景観カルテ(全体版)の作成、多自然川づくりアドバイザー会議の資料作成・運営等を実施したものです。

現状写真
3Dモデル数値標高データと横断測量図をもとに地形モデルを作成し、航空写真と合成。
3Dコンター図掘削後の地形を標高毎に着色

 当該箇所は、岩掘削がメインであり、CIMを活用することで掘削形状に関する比較検討を3次元で効率よく実施することが可能であり、岩掘削土量について、一般的な平均断面法よりも3Dモデルでのメッシュ法で算出した方が精度の向上が見込めます。

 岩掘削地区を対象に3Dモデルを作成して、様々な視点から掘削箇所の見え方を確認して視点場を設定し、各視点場から見て現地形に最も馴染みやすい掘削形状を選定しました。また、作成した3Dモデルを用いて、現況地形と掘削後地形を重ね合わせることで、掘削土量の算出を行いました。

関連業務の紹介ー 名取川防災拠点外詳細設計業務 ー

業務名:名取川防災拠点外詳細設計業務(平成27年度CIM試行業務)
発注者:東北地方整備局 仙台河川国道事務所

 本業務は名取川閖上地区を対象に、名取市の復興計画との整合を図り、河川防災拠点施設及びかわまちづくりの施設整備に係る検討・詳細設計を実施したものです。河川防災拠点施設及びかわまちづくりの施設整備に関する景観検討に関しては、周辺の建物を含めた施設配置、構造、デザイン、整備後の維持管理等に係る具体的検討を行うため、検討会を行い、関係者の意見聴取を行いました。
 検討会の開催にあたっては、パースや模型を作成した他、CIMによる3次元CAD、ドローンによる空撮動画等を使用し、完成後の施設配置や景観など、完成形のイメージを分かりやすく説明しました。その結果、地域の意見・要望等が出やすく、より充実した検討会や詳細設計の実施に結びつける事ができました。

河川防災拠点及び周辺施設等のレイアウト鳥瞰図
ドローンによる空撮写真
使用したドローン

関連業務の紹介ー 平成28年度若穂綿内地区堤防設計等業務 ー

業務名:平成28年度若穂綿内地区堤防設計等業務(平成29年度CIM活用業務)
発注者:北陸地方整備局 千曲川河川事務所

 本業務は千曲川右岸の若穂綿内地区において、弱小堤防区間の堤防整備に伴い、堤防断面拡幅、兼用道路の付け替え詳細設計を実施したものです。

 若穂綿内地区は、堤外地に耕作地が多く、堤防断面拡幅による耕地への影響把握や堤防を横断するために設置されている数多くの既存坂路の復旧方法の検討が重要でした。そこで、堤防、兼用道路、坂路を含む完成後のCIMモデルを作成し、関係者との合意形成に活用しました。

関連業務の紹介ー 平成28年度本明川ダム景観検討業務 ー

業務名:平成28年度本明川ダム景観検討業務
発注者:九州地方整備局 長崎河川国道事務所

 長崎県諫早市に計画されている「本明川ダム」への計画から維持管理までを見据えたCIM(Construction Information Modeling / Managements)導入にあたり、ダム堤体や貯水池の他、付替道路や母材山等関連する様々な施設について最新設計データより3次元モデルを構築し、3次元地形データならびに航空写真(オルソデータ)とあわせることで事業により創出される空間全体を把握しました。
 この3次元モデルを最新の設計進捗に応じて随時更新していくことで、通常の図面だけでは把握し難い構造物と現況地形との状況の可視化や構造物の見え方・デザインの確認などの景観検討を実施しました。 更に、構築した3次元モデルを用いることで、設計道路上の走行シミュレーション動画や空撮図とのフォトモンタージュなどを作成し、住民説明や合意形成に有効活用しました。

本明川ダムの3次元モデル

関連業務の紹介ー 五ヶ瀬川水系河道管理等検討業務 ー

業務名:五ヶ瀬川水系河道管理等検討業務
発注者:九州地方整備局 延岡河川国道事務所

 宮崎県北部を流れる五ヶ瀬川水系(五ヶ瀬川・大瀬川・祝子川・北川)の経年的な横断測量データや航空レーザ測量による標高データから設定した10mピッチの堤防天端高を3次元CADに取り込み、河川の縦断的な連続性等の「見える化」を図りました。このデータによって、最深河床の平面的な経年変化や河道内の洗掘・堆積傾向等が視覚的に確認でき、将来的な河道変遷も推測することができます。
 作成した3次元データは3DPDF形式にて出力し、無償ソフトであるAdobe Acrobat Readerでも、様々な任意の視点から閲覧できるようにしました。 これは、国土交通省 九州地方整備局の「九州地方CIM導入検討会」で議論を重ねた成果でもあり、「CIM導入ガイドライン(案) 第3編 河川編」にもその取り組みの一部が掲載されています。

今後の河道管理に資する五ヶ瀬川の「見える化」イメージ図

関連業務の紹介ー 平成29年度福島樋門詳細設計業務 ー

業務名:平成29年度福島樋門詳細設計業務(平成29年度CIM活用業務)
発注者:北陸地方整備局 千曲川河川事務所

 本業務は千曲川右岸の福島地区において、弱小堤防区間の堤防整備に伴い、堤防断面拡幅、兼用道路の付け替え修正設計を実施したものです。

福島樋門周辺の兼用道路に接続する道路と近隣家屋の確認

 福島樋門周辺の堤防整備に伴い付け替えが必要になる兼用道路と近隣家屋等との位置関係について協議・確認が必要になったため、完成後のCIMモデルを合意形成に活用しました。

既設樋門の一部配筋をモデル化した構造物モデル
頂版部の曲げ補強鉄筋モデル
門柱部せん断補強鉄筋モデル

 福島樋門については、既設樋管の曲げ補強対策工の範囲や既設鉄筋と補強鉄筋の干渉状況を確認するために、対策工を含む既設樋管のCIMモデルを作成し、対策工のイメージの共有、施工上の問題点把握等に活用しました。

関連業務の紹介ー 立野ダムCIM活用検討業務 ー

業務名:立野ダムCIM活用検討業務
発注者:九州地方整備局 立野ダム工事事務所

 熊本県を流れる一級河川白川の阿蘇地域で建設中の「立野ダム」を対象に、今後のダム堤体の施工や維持管理まで活用可能なCIM(Construction Information Modeling / Managements)の導入にあたり、測量・調査・設計の最新データをもとに、周辺地形や地質、ダム堤体等の3次元モデルを構築するとともに、リフトスケジュールを可視化した事業説明用モデルを構築しました。
 3次元モデルの構築に際しては、設計・施工・維持管理の各段階における各モデルの活用項目や詳細度、属性情報の考え方について検討・整理し、その結果をモデルに反映しました。 また、今後のダム堤体の施工時において、特に活用・更新が見込まれるボーリングモデルについて、ボーリング調査で得られる数値等をエクセルに入力すれば、モデル作成に必要な情報が自動的に生成されるツールを作成しました。

立野ダムの3次元モデル