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当社環境防災研究所の研究員が内閣府BRIDGE「革新的な統合気象データを用いた洪水予測の高精度化」の一環として研究開発を実施し、その成果の一部をとりまとめた論文が「2026年AI・DX奨励賞」を受賞しました。
AI・DX奨励賞は、公益社団法人 土木学会構造工学委員会 AI・データサイエンス論文編集小委員会より、AI・DXに関連した論文や作品で革新性・将来性・社会性のいずれかに優れ、今後が期待される論文に授与されるものです。
◆受賞論文
「多時刻統合型AFNO降雨予測モデルの九州河川流域への適用と精度評価」
(AI・データサイエンス論文集、2026、7巻、2号、p.236-245)
◆受賞者
曽田 康秀 (環境防災研究所 主席研究員)
成 岱蔚 (環境防災研究所 主任研究員)
酒寄 千展 (環境防災研究所 研究員)
◆受賞日
2026年8月14日
近年頻発する線状降水帯による豪雨に備え、河川流域における6時間先までの降雨予測の高精度化が求められています。これに対して、ここ数年、気象予報の再解析データを大量に学習させるデータ駆動型AIモデルの適用可能性が検討されていますが、メソスケールでのデータ駆動型AI降雨予測では、学習領域の境界付近での精度低下や、逐次予測に伴う誤差の増幅が課題となっています。
本研究では、筑後川流域への大気の流れを6時間逆追跡して学習領域を設定し,可降水量(PWV)を含む気象データを用いて、1~6時間先の降雨を一括推論する多時刻統合型AFNO降雨予測モデルを構築しました。筑後川・球磨川流域の2025年豪雨を対象に、本研究で構築したモデルと気象庁降水短時間予報およびNowcastNetの降雨予測精度を流域単位で比較しました。学習領域の拡大と多時刻統合により、予測精度の改善を確認しました。
今後、環境防災研究所では、AIの高速な推論を活かした大規模アンサンブル降雨予測を実用化し、洪水予測やダム流入量予測の精度向上に資する長時間先の降雨予測の高精度化を目指します。
図 筑後川流域の降雨予測比較(2025年8月10日20時 JST)
左上:気象庁レーダー解析雨量・XRAIN雨量
右上:1~3時間先の筑後川流域平均雨量の時系列
下段:各モデル(下表のとおり)による1~3時間先の降雨強度分布
| モデル | 概要 |
|---|---|
| NowcastNet | 生成型AIによる移流型ナウキャスト(XRAINデータで九州向けに再学習) |
| AFNO-SOLR | 降雨のみを入力した多時刻統合型AFNO |
| AFNO-PWVCR | 上記にPWVの実測値を入力(PWVが既知の理想条件) |
| AFNO-PWVPR | 上記にAFNO大気モデルによるPWV予測値を入力(実運用を想定) |
BRIDGEは、研究開発成果の社会実装を推進する内閣府のプログラムです。
当社は、九州大学を代表機関とする共同研究体により実施された「革新的な統合気象データを用いた洪水予測の高精度化」(令和5~7年度)の研究開発に民間研究協力機関として参画し、AIによる降雨予測モデルの研究開発の一部を担当しました。
プログラムディレクターは小松利光名誉教授(九州大学)、研究代表者は杉原裕司教授(九州大学)です。