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危機管理型水位計は、洪水時に特化した低コストの水位計です。予め設定した観測開始水位を越えたら、5分毎等の短い時間間隔で水位データを取得することができます。洪水氾濫の危険性が高い箇所等への整備が進められていますが、ここでは、水位観測データを有効に活用する河川技術の事例を紹介します。
水位観測データから氾濫の危険性を認知するには、氾濫が始まる堤防高等との比較が不可欠です。現地映像は、水位が上がり氾濫の危険性が高くなったことを直接的に把握できますが、夜間等の利用には相応の費用がかかります。
水位計設置箇所周辺の河道地形を計測し、観測水位に対応した水面位置を計算し、自動で作成した仮想水面画像を現地写真に合成するシステムを開発しました。映像入手ができない箇所や時間帯での活用に威力を発揮します。
一連の河川区間において、危険個所などのジャストポイントに水位計を設置することが現地の状況から困難な場合があります。その場合、横断測量やレーザ測量のデータを用いて一連区間の河道形状を把握し、種々の水位・流量規模での縦断的な水位を算定することにより、観測水位に対応した危険個所等の水位を推定します。
<水理計算による縦断水位>
水位観測データを蓄積し、その他上流の雨量等を用いて人工知能(AI)により水位を予測します。流域面積が100平方キロメートル程度以下であれば、雨量と水位の関係は洪水によるばらつきが小さく、安定した予測ができます。また、洪水データの蓄積がなくても、レーダ雨量を用いた流域平均雨量と観測水位から水位予測を行うこともできるので、水位計を設置してすぐに水位予測を開始できます。
河道の一連区間に水位計を複数台設置し、洪水流の計算水面形と観測水位を同化させることにより、精度の高い縦断的な水位と流量を逐次推定することができます。流量推定については、通水能を用いて水面勾配から簡易に推定することも簡便法として有効ですが、データ同化技法を用いれば河道の粗度係数も同定することができるため、推定精度が向上します。
<アジョイント法によるデータ同化>