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技術トピックス

土木学会デザイン賞2013 優秀賞 受賞

土木学会デザイン賞賞状

景観、河川、緑化、石積みを専門とする学識経験者や地元代表者等からアドバイスを頂きながら当社が計画・設計した「川内川 曽木の滝分水路」が土木学会デザイン賞2013で優秀賞を受賞しました。
(土木学会デザイン賞のWebサイト)

※曽木の滝分水路は、2012年度グッドデザイン賞ベスト100にも選出されています。
(グッドデザイン賞受賞時の当社webサイト)

<土木学会デザイン賞 2013>
主  催: 社団法人 土木学会 景観・デザイン委員会
結果公表: 平成25年11月26日
授 賞 式: 平成26年 1月26日

曽木の滝分水路

曽木の滝分水路は、川内川河川激甚災害対策特別緊急事業(通称:激特事業)の一環で整備されました。激特事業は、短期間で計画・設計から施工までを行わなければならない事業です。そのような時間的な制約があるなかで、洪水対策として分水路を作るという工学的な性能と景観・空間的な質の向上を両立させたことが評価されました。

川内川 曽木の滝分水路

川内川 曽木の滝分水路

分水路内の空間的な特徴 ~上流部・中流部・下流部で異なる多様な空間の創出~

洪水流下機能の確保、周辺景観・環境との良好な関係の創出、現地の地形・地質状況への配慮など、様々な要請を勘案したうえで分水路の平面・縦断・断面を検討した結果、上流部・中流部・下流部のそれぞれで異なる特徴を持った空間となることが予測されました。そこで、そうした空間的特徴を活かしたゆるやかなゾーニングや河床の仕上げ方などの検討を行い、各ゾーンを繋ぐ動線や視点場を設定しました。その結果、延長400mの分水路内部が単調にならずに、奥行き感や多様性が感じられる空間を創出することができました。

ゾーニングイメージ図

各ゾーンの様子

上流部

上流部 (空間:開放的 河床:平滑)

中流部

中流部 (空間:開放的→コンパクト 河床:平滑→ゴツゴツした仕上げ)

下流部

下流部 (空間:コンパクト→開放的 河床:ゴツゴツした仕上げ)

分水路完成後の状況

分水路完成後、分水路を含む曽木の滝周辺をめぐる約6kmのルートで市内外の様々な世代の人々が交流し、ボランティアガイドや専門家による解説を交えながら地域資源や自然を“はっけん”する「曽木はっけんウォーキング」が開催されました。

曽木はっけんウォーキングの様子
(平成24年7月22日 熊本大学景観デザイン研究室撮影)

上記のようなイベントを通した分水路の新たな地域資源化が進む一方で、洪水時には本川からの分流水が流入し、上流域の水位低下に寄与しており、分水路本来の治水機能も発現されています。

洪水時に分水路を流れる本川からの分流水

洪水時に分水路を流れる本川からの分流水
(平成23年6月11日 川内川河川事務所撮影)


「川内川 曽木の滝分水路」の概要
所 在 地 :鹿児島県伊佐市大口曽木(曽木の滝南側)
事 業 者 :国土交通省 九州地方整備局 川内川河川事務所
設 計 者 :株式会社 東京建設コンサルタント
アドバイザー:島谷幸宏(九州大学教授)、小林一郎(熊本大学教授)、星野裕司(熊本大学准教授)
検 討 組 織 :曽木の滝分水路景観検討会(学識経験者,市長,商工会,観光協会,地元住民の代表 計13名で構成)